解説シリーズ

賞与に対する源泉徴収(一般知識と要注意!!特殊なケース)

賞与から源泉徴収する所得税は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の給与所得者の「扶養控除等申告書」を提出している場合は甲欄、提出していない場合は乙欄を使用して、次のように計算します。

1.賞与の意義

  賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏季手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するものをいいます。なお、給与等が賞与の性質を有するかどうか明らかでない場合には、次のようなものが賞与に該当します。
  (1) 純益を基準として支給されるもの
  (2) あらかじめ支給額又は支給基準の定めのないもの
  (3) あらかじめ支給期の定めのないもの。ただし、雇用契約そのものが臨時である場合のものを除きます。
  (4) 法人税法第34条第1項第2号≪事前確定届出給与≫に規定する給与(他に定期の給与を受けていない者に対して継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づき支給されるものを除きます。)
  (5) 法人税法第34条第1項第3号に規定する利益連動給与


2.通常の場合は次のように計算します。

  (1) 前月の給与から社会保険料等を差引ます。
  (2) 上記(1)の金額を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて税率(賞与の金額に乗ずべき率)を求めます。
  (3) (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)×上記(2)の税率
  この金額が、賞与から源泉徴収する税額になります。

3.次の場合には、月額表を使って次のように計算します。

  (1) 前月の給与の金額(社会保険料等を差し引いた金額)の10倍を超える賞与(社会保険料等を差し引いた金額)を支払う場合
    イ  (賞与から社会保険料を差し引いた金額) × 6分の1
    ロ  イ + (前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額)
    ハ  ロの金額を「月額表」に当てはめて税額を求める。
    ニ  ハ - (前月の給与に対する源泉徴収税額)
    ホ  ニ × 6
    この金額が賞与から源泉徴収する税額になります。
   (注) 賞与の計算期間が半年を超える場合には、賞与から社会保険料等を差し引いた金額を12分の1にして、同じ方法で計算します。そして、求めた金額を12倍したものが源泉徴収する金額になります。
  (2) 前月に給与を払っていない場合
    イ  (賞与から社会保険料を差し引いた金額) × 6分の1
    ロ  イの金額を「月額表」に当てはめて税額を求める。
    ハ  ロ × 6
    この金額が賞与から源泉徴収する税額になります。
   (注) 賞与の計算期間が半年を超える場合には、賞与から社会保険料等を差し引いた金額を12分の1にして、同じ方法で計算します。そして、求めた金額を12倍したものが源泉徴収する金額になります。
   (所法186、同別表第2、第4、所基通183-1の2、186-4)
   (平成21年4月1日現在の法令等によっています。)

<ケーススタディ>

  (1) 賞与の金額(社会保険料等控除後)が前月中の給与等の金額(社会保険料控除後)の10倍を超える場合
   【1】 社会保険料控除後の賞与の金額 ÷ 賞与の計算の基礎期間の月数
     例: 賞与の計算基礎期間が6カ月の場合  賞与の金額 ÷ 6
   【2】 次に、【1】で求めた金額と前月の社会保険料控除後の給与等の金額の合計を月額表に当てはめ、毎月の給与から源泉徴収したのと同じように税額を求める。
   【3】 (【2】で求めた税額 ー 前月中給与支払時の税額) × 賞与の計算基礎期間の月数 = 賞与から控除される所得税額

  (2) 前月中の給与等の金額がない場合 (前月中の給与等の金額が社会保険料の金額以下の場合も含む)
   【1】 社会保険料控除後の賞与の金額 ÷ 賞与の計算の基礎期間の月数
     例: 賞与の計算基礎期間が6カ月の場合   賞与の金額 ÷ 6
   【2】 次に、【1】で求めた金額を月額表に当てはめて、毎月の給与から源泉徴収したのと同じように税額を求める。
   【3】 【2】で求めた税額 × 賞与の計算基礎期間の月数 = 賞与から控除される所得税額